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2019/10/30
【月末オピニオン】 ターミナル使用料の徴収 受益者負担の考えは「悪」か

日本寄港を含む中国発着の北東アジア周遊クルーズに就航するフリートの大型化を受けて、日本の港湾では受入機能拡充を目指して関係インフラの整備が急ピッチで進められている。既存岸壁の延伸や係船柱・防舷材の強化などはその一例だが、乗船客の利便性向上を目指してターミナル施設を新設する動きも複数ある。加えて、数年前から政府が推進する「国際クルーズ拠点港湾」の取り組みも本格始動し、外国船社と港湾管理者らの共同事業が西日本を中心に進められている。
このなかで、港湾関係者がその動向を注視している問題に「ターミナル使用料の徴収」がある。2020年1月1日から、沖縄県の那覇港(泊8号岸壁にあるクルーズターミナル)と福岡県の博多港(中央埠頭にあるクルーズセンター)で使用料徴収がいよいよ始まる。両港の関係者によると、数年前に供用を開始したターミナル施設の維持・管理費の一部について「利用者からの使用料を当てることで賄う」と、制度導入の背景を説明する。

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日本港湾の現状を振り返ると、クルーズ船の乗船客が利用できるターミナル施設は東京や横浜、大阪、神戸といった大都市港湾の、しかも日本船が発着クルーズとして数多く利用する港くらいにしか整備されていない−というのが近年までの実情だった。しかし、中国発着のクルーズ船が年々大型化され、3000人、4000人が一度に来航するようになると、限られたスペースしか利用できない船内でのCIQ(税関・入出国管理・検疫)では手続き終了まで長い時間が必要となり、ターミナル施設の整備を余儀なくされる事態となった。
近年の整備事例を見ると、博多・長崎・那覇といった中国大陸に近い港湾での整備が進んだほか、佐世保や広島・舞鶴、今春には高知や秋田、青森などでもターミナルが竣工し、供用が始まっている。天候に恵まれた日はいいが、小雨や真夏の日差しが痛い夏場に日本を訪れた乗船客には、ターミナルはありがたい存在だ。しかも、施設内でWiFiが利用できるとなれば、乗組員の休憩場所としても重宝に使える。
ただ、来年からターミナル使用料を徴収すると公表した港は、現時点で那覇と博多に限られる。長崎や横浜など、そのほかの既存ターミナルでは、「当面は使用料の徴収は考えていない」と口をそろえる。また、来春にも新たなターミナル施設が竣工する金沢や東京などでも「現時点で徴収の予定はない」という。一方、国際クルーズ拠点港湾としての整備が進む八代や佐世保の場合は、ターミナル施設の整備は船社側が担っているため、「港湾管理者側が使用料徴収を決める立場にない」とコメントする。

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こうした中、将来的な岸壁延伸とターミナルの新設を決めている一部港湾から、「なぜターミナル使用料を利用者(乗船客)から徴収してはいけないのか」と疑問の声が上がっている。彼らの見解では「相応のコストをかけて乗船客らの利便性向上を目指してターミナル施設を整備することは、最終的には利用者の便益となる。だから、使用料を徴収することは何ら問題がない」と指摘する。
ここ数年、「日本港湾はターミナルが少なく、天候が悪い時や真夏の寄港は使いにくい」と不満を寄せる船社は少なくなかった。「ならば・・」と、その解消に向けて施設を整備した上で、「1人〇〇円の使用料をお願いしたい」と港湾管理者が打診すると、「本当に徴収するなら、来季の寄港は見送る」と高圧的に出てくるケースもあるとか。これについて、ある外船社の現地法人幹部は「ターミナル使用料の徴収があるから寄港は見送る−という船社を、港が単独で相手にする必要はない。使用料は乗船客から徴収するもので、船社は代理徴収するだけ。つまり、その手間が面倒だという論理に過ぎない。当社の乗船客は、こうしたコストの受益者負担には何の不満も出ない」と言い切る。

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海外旅行などで利用する航空券には、日本と外国の空港施設利用料が必ず含まれている。これは、搭乗者の承諾など関係なしにチケットを購入する際の支払総額に含まれているものだ。一方、クルーズの場合は外国籍船であればクルーズ代金のほかに、港湾税や政府諸税などを請求されることが一般的だ。当然、これは船社側が代理徴収して港など当該機関に払うもので、船社が負担しているわけではない。
国内外のクルーズ船誘致と受け入れでは昨今、一部の関係者が「持続可能な取り組みで対応しよう」と声を上げ始めた。過度な「もてなし」やお祭り騒ぎのような見送りをやめる、無料提供しているシャトルバスの有料化、毎年のように日本各地で繰り返される外国クルーズ船社幹部らの招聘事業の見直し―などを指しているのだという。
これに続くターミナル使用料の徴収の是非。読者の皆さんは、どう思いますか?


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