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2022/7/27
【月末オピニオン】 今こそ「クルーズは最も安全で安心な旅」とアピールを

今月半ば以降、新型コロナウイルス(COVID−19)の新規感染者数が急増し、いわゆる「第7波」に入ったという。ここ数日は、東京など都市圏だけでなく、ほぼ全国的に毎日のように新規感染者が過去最多を更新し、以前のような「行動制限に踏み切るべきだ」との意見も出始めている。
外国人観光客の受け入れ中止など厳しい水際対策を続けてきた日本政府は、6月10日から新型コロナの流入リスクが低いとされる98の国と地域からの観光客に対する入国規制を緩和し、添乗員付きパッケージツアー利用客に限って、受け入れを許可する方針に転換した。実際の観光客入国は今月から本格的に始まったようだが、その直後に顕在化した「第7波」だけに、旅行や観光に対する風当たりが再び強くなるであろうことは想像に難くない。
一層の水際対策緩和を要望してきた日本のクルーズ関係者らは、「この先どのような戦略で海外寄港クルーズや外船の日本寄港、日本発着の運航再開に向けて活動していけばよいか、途方に暮れてしまう」などと、本音を漏らす。

その最中、今月13日から15日までの3日間、「ぱしふぃっくびいなす」に乗船した。行程は横浜から鳥羽寄港を経て大阪港まで。乗船直前のPCR検査や健康スクリーニングに始まり、船内のいたるところで行われる体温チェックやアルコールによる手指消毒、そして船内行動履歴をトレースできる「クルーズカード」を利用した入室管理、レストランのテーブルに置かれた透明のアクリル板による仕切りなどなど、コロナ禍を経た新たな時代のクルーズは、これまでの雰囲気とはずいぶん異なる「船の旅」との印象を受けた。
しかし、船社や港など多くの関係者の尽力により、二重三重の感染症対策を施しているからこそ、2020年早春の「ダイヤモンドプリンセス」のような事態は、同年10月下旬の邦船クルーズ運航再開以降、一度も起こっていない。業界関係者は、今こそ「クルーズは最も安全で安心な旅」と声高にアピールしても良いのではないか。

2年半前のトラウマを、まだ引きずっている方々は少なくない。連日、世界でも大きく報道されていただけに仕方がない面もあるだろう。ただ、その事実だけを捉え、現状の対策や世界の動向変化にはあまり目を向けず、「クルーズ再興」に政治や中央官庁が及び腰になることは、いかがなものか。感染急増の「第7波」の状況を注視しながら、1日でも早く邦船の海外寄港クルーズや外船の日本寄港、日本発着の運航再開という重いドビラを開けて欲しい−と願うのは、私だけではあるまい。  (クルーズ総合研究所副所長・沖田一弘)

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