ホーム > クルーズニュース > 2022/7/31 函館港 コロナ陽性の乗客受け入れに 船社など業界内で称賛の声
郵船クルーズが運航する「飛鳥U」の乗客1人が新型コロナウイルス(COVID−19)陽性と確認されたことが7月27日に公表され、次の寄港先だった北海道の函館港で翌28日に当該乗客が下船したことに対して、クルーズ船社や一部の業界関係者から称賛の声が上がっている。新型コロナの感染拡大が「第7波」に入った昨今、全国レベルで新規感染者が多数報告される中、「陽性が確認された乗客の状態は落ち着いている」(郵船クルーズ)とはいえ、人道的な配慮などから受け入れに踏み切った函館港の英断をたたえたい。
船内で新型コロナ陽性者が確認された「飛鳥U」は28日朝、晴れ渡った函館港に寄港し、当該乗客と同港で下船予定に70人余りを下ろし、同日昼過ぎ、今航の発着港である横浜港に向けて無事出港した。本船は終日航海を経て、30日の午後に横浜港に戻っている。
◇
新型コロナをめぐって日本のクルーズ業界では、「ダイヤモンドプリンセス」の船内パンデミックから約半年後の2020年10月下旬から、邦船3社のクルーズが順次再開された。これに対して、少なくない港から「寄港を見合わせて欲しい」といった申し入れが相次いだ時期がある。特に、医療体制が脆弱といわれる離島や地方港の一部でその傾向は顕著だった。
さらに、昨年のゴールデンウイークに今回と同じ「飛鳥U」の乗客に陽性者が確認されたときも、次港から「今回の入港は遠慮してほしい」と連絡が入り、急きょ横浜に引き返した例がある。また、この時には、同じ横浜港から出港した別のクルーズ船も、船内で陽性者が確認されていないにもかかわらず、大事を取って横浜港に戻るなどの騒ぎとなった。
それだけに、同港で70人余りの通常下船客がいたとはいえ、船内で陽性者が確認されたクルーズ船を日本の港として初めて函館港が受け入れたことを「英断と言いたい」と話す関係者は少なくない。