ホームクルーズニュース >  2022/8/29 【月末オピニオン】 招聘事業と独自調査

一般財団法人みなと総合研究財団

〒105-0001
東京都港区虎ノ門3丁目1番10号
第2虎の門電気ビルディング3・4階

TEL:03-5408-8291 FAX:03-5408-8741 地図・最寄り駅はこちらから

トピックス

2022/8/29
【月末オピニオン】 招聘事業と独自調査

新型コロナウイルス(COVID−19)の世界的な感染拡大を受けて、日本に外国籍のクルーズ船が寄港しなくなって2年半。その間、外国船社の日本法人や支店の幹部らは、寄港再開に向けて地道な活動を続けてきた。いわゆる「ダイヤモンドプリンセス」のトラウマから逃れられない中央や地方行政の港湾および保健部局などに足しげく通い、運航を再開している海外事例などを根気よく説明し、1日も早い日本寄港復活をアピールしている。
一方、クルーズ船を受け入れる各地の港湾管理者らは、昨年後半からウィズコロナという「新たな時代」のクルーズ船誘致や受け入れに対する活動を本格的に再開し、日本のクルーズ業界関係者を招いたファムツアーやセミナー、商談会といった取り組みが徐々に目立ってきた。今夏以降はさらに積極展開する港湾関係者が増える勢いで、欧州やアジアで行われるクルーズ関連の国際会議やトレードショーに参加する地方自治体もあると聞く。
ただ、そうした受入関係者の足元を見たような動きが一部で顕在化していることは、このご時世、残念に思えてならない。例えば、こんな話を聞いたことがある。
          ◇
「仕事の都合で日本の隣国に行くので、その後、可能であれば日本国内の港や観光地の最新状況を視察したい。4日程度で適当なルートを考えてくれないか。ただ、急に思いついたことなので、現地費用など一切は日本の関係者にご負担いただきたい」
「2年後に新たなルートの日本発着クルーズを考えている。オーソドックスな寄港ルートではなく、欧米のクルーズ船があまり寄港しない離島や、受け入れ実績がない小さな港など、オリジナリティを打ち出せるルートにしたい。しかし、予算措置は講じていないので、交通費や滞在費、その他の現地コストは視察先の皆さん持ちでお願いしたい」
          ◇
港湾管理者をはじめ、クルーズ船の誘致や受け入れを担当する関係者が独自の取り組みとしてファムやセミナーを企画する場合、船社や旅行業者といった招聘者の交通費や滞在費などは、主催者負担で行われる。お招きするのだから、これは当然のことだろう。
しかし、船社や旅行業者が今後のクルーズコース設定のために調査目的などで現地入りする場合、東京などから現地までの交通費や現地でかかる諸費用を受け入れ側が負担する必要があるのだろうか。招かれたケースと、自社の独自調査などで現地に出向く場合とでは、費用負担の考え方は根本的に異なると思う。
ある業界関係者は、後者の場合を「たかり」と呼んで眉をひそめた。個人的な見解を述べて恐縮だが、私も同意見だ。
(みなと総合研究財団・クルーズ総合研究所副所長 沖田一弘)

≫前の記事へ



Page Top