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2022/9/29
【月末オピニオン】 水際対策はさらに緩和されたが、国際クルーズ再開にはまだ時間

今月26日の記者会見で松野博一官房長官が公表した新型コロナウイルス(COVID−19)関連の水際対策緩和方針は、観光産業などインバウンド完全復活を願う関係者に久々の明るい話題を提供した。
10月11日以降に適用される新たな緩和策は、1日あたりの入国者数の上限撤廃、ビザ(査証)取得の免除、個人旅行解禁−などが骨子となる。外国籍のクルーズ船寄港再開を要望してきた港湾関係者らは、「現在、国際線を受け入れていない空港・海港について、準備が整い次第、順次受け入れを再開する」という部分に注目。気の早い港から、「いよいよ外国船の受け入れが解禁された」といった趣旨のメールが数本届いた。
確認してみると、海港の「国際線」はフェリーだけでなくクルーズ船も含まれるという。先のメールを送ってきた港湾関係者の理解は間違いだったわけではない。ただ、そう簡単に外国船社のクルーズ船寄港や日本発着が再開できるわけではない。
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例えば、コロナ以前から、春先の外船寄港時に注目されることが多かった検疫。通常期であれば無線検疫で問題なしとされれば「仮検疫済証」を交付されて寄港−となるが、新型コロナの有症者が船内で確認されるなどの状況が認められれば、検疫官が当該船に乗り込んで乗客らを検査するなど、長時間の諸対応が求められる。2020年春の「ダイヤモンドプリンセス」を引き合いに出すまでもなく、クルーズの運航継続は見込めなくなる。
また、外船が日本発着クルーズを再開する際には、カボタージュをクリアするための海外寄港が必ず求められる。コロナ前の事例では、隣国の台湾や韓国、夏場はロシアに寄港するクルーズ船も少なくなかった。しかし、現時点で韓国はカボタージュをクリアするための乗客下船がない「クリアランス」は認めているものの、乗客が寄港地観光を楽しめる「開港」の時期は全く不明だ。
台湾にしても、日本同様に水際対策は段階的に緩和しているが、クルーズ船に対する対応も同様に緩和されていくかどうか、明らかにしていない。中国は相変わらず「ゼロ・コロナ政策」で外船の寄港再開時期は不明。ウクライナ侵攻を厳しく非難している日米欧がそろって経済制裁に踏み切っているロシアへの寄港もまた、非現実的と言わざるを得ない。
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ただ、今回の水際対策緩和では、準備が整った港から順次、受け入れを開始するとある。国際クルーズ受け入れガイドラインの公表が待たれるが、座して待つのではなく、港独自の受入港マニュアル案を策定するなど、受け入れ側の積極的な対応を切に望みたい。
(みなと総合研究財団・クルーズ総合研究所副所長 沖田一弘)

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