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2023/3/27
【月末オピニオン】 港を去る人、港に来る人 国際クルーズ再開と春の異動に思う

3月1日から再開された国際クルーズ船の日本寄港。岸壁予約がある全国の港湾関係者は当初、外国籍のクルーズ船受け入れを目前にして「期待と不安が半分半分」(西日本のある港湾管理者)というのが本音のようだった。保健当局の対応などを慮ってのことだろうが、実際の寄港が始まると、懸念はほとんど払しょくされ、寄港の様子を伝える地元紙やテレビ局も「3年ぶりに国際クルーズ船が〇〇港に来航しました」と、大半が好意的に報じていた。
もちろん、日本に寄港した国際クルーズ船で新型コロナウイルス(COVID−19)の陽性者が全く見つからなかったわけではない。厚生労働省が毎日公表している新型コロナの新規感染者数の速報値には、成田や羽田、関空といった国際空港で確認された新規感染者と同じように、海の港で確認された感染者についても発表している。海港で確認された数すべてがクルーズ船とは断定できないが、感染者の年齢や行動歴を見る限り、おそらくその多くはクルーズ船ではないか−と推察される。
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日本国内では3月13日以降、マスク着用は「個人の判断」に委ねられている。東京の状況を見る限り、朝夕の通勤時間帯の電車では、ほぼ全員がマスクを着用しているのだが、陽気がよくなった日中は「ノーマスク」で歩くサラリーマンや、一目でインバウンドと分かる外国人観光客のマスクなし姿が目に付くようになった。
また、今月半ばには東京を皮切りにサクラの「開花宣言」が各地に発出され、週末でなくてもサクラの下での賑やかな宴席を見かけるようになった。時節柄、和服を着た卒業式帰りの女子学生がマスクを付けずに談笑しながら歩いている姿をよく目にする。
ただ、クルーズ船から出てくる外国人乗客は、まだその多くがマスクを着用し、寄港地ツアーの大型バスに乗り込んでいる。
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年明け以降、国際クルーズ船の動向を確認するため、インターネットで船舶の位置情報を提供するサイトを朝夕欠かさず確認している。これまで、クルーズ船が集まる海域といえば北米と地中海に密集状況が見られるくらいで、次いでオセアニアと中東、南米に点在する程度。日本近海を含めた北東アジアは「ほぼ空白」の海域だった。
それが2月以降、徐々に北東アジアもクルーズ船が増え始め、3月の声を聞いたとたんに一挙に増加。なかでも日本近海は太平洋側を中心に「クルーズ船」の所在を示すマークが折り重なることも珍しくなくなった。この状況は夏のアラスカクルーズが始まる5月上旬まで続くと思われる。
あと数日で2022(令和4)年度が終わり、新たな年度がスタートする。春の異動で港を去る人、また港に来る人もいるだろう。そして来月以降も、国際クルーズ船はまだまだ日本に来航する。基本的な感染症対策を講じながら、たくさんの乗客に港周辺の観光を楽しんでもらえるよう果敢に取り組んでいただきたい。
          (みなと総合研究財団・クルーズ総合研究所副所長 沖田一弘)

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