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2023/6/27
【月末オピニオン】 一難去ってまた一難・・・観光バス確保の次は交通渋滞

梅雨の中休みを思わせる6月下旬、沖縄そして奄美地方で「梅雨明け」の発表があった。3月1日に再開された国際クルーズ船の日本寄港から4カ月。日本近海を周遊していた外国籍のクルーズ船は、日本発着に就航中の一部フリートを残して、そのほとんどが日本の沿岸を離れていった。晩春に日本を後にしたクルーズ船は地中海や欧州に、ゴールデンウイーク終了とともに北海道から順次北上していった船は、今ごろアラスカ周辺で夏のクルーズシーズンを過ごしている。これらフリートの乗客乗員は、4年ぶり今春の日本寄港について、どのような印象を持って旅立ったのだろうか。
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久方ぶりの外国籍のクルーズ船受け入れを経験した西日本のある港湾関係者は、寄港対応を振り返ってこう語る。
「数カ月前から地元関係者と協議を重ね、『これで大丈夫』と思って寄港日を迎えた。新型コロナも5類に引き下げられていたから、予想していたような感染防止対策に関する船社側の厳しいリクエストはなく、地元保健当局も受け入れについて必要以上に過敏になることはなかった。その一方、寄港地ツアーに参加する乗客が想定外に少なく、港周辺や徒歩圏の商業施設は賑わいを見せていた。今春に続く秋の寄港ラッシュの時には、ツアーに参加しない乗客の回遊ルートなどを事前にチェックした上で、より有意義に過ごしていただけるような取り組みは何か−を考えて対策を講じたい」
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春の寄港ラッシュを振り返り、その反省を生かして秋に備えようと考える港湾関係者は多い。ただ、課題解決策がそう簡単に見つからない事例もある。例えば、東日本の港湾関係者から、以下のような感想が寄せられた。
「クルーズ船が接岸する岸壁が港の最奥部にあるため、どうしても寄港地観光で利用する観光バスが集中する時間帯には交通渋滞が起きてしまう。小型や中型のクルーズ船の場合は何とか回避できるが、10万総トンを超える大型船の場合は、どうしても渋滞が避けられない時間帯がある。昨秋以降、観光バスの確保に難儀していたかと思えば、次は交通渋滞。港周辺の道路整備は一朝一夕にはできないので、中国発着のカジュアル系大型フリートの運航が来春から順次再開されるとどうなるのか。今から先が思いやられる」
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「一難去ってまた一難」の例えは不謹慎かもしれないが、新型コロナの影響でクルーズ船寄港が皆無だったころと比べると、さてどちらが良いのだろうか。感染症の心配なく、スムーズな受け入れ対応ができる状況が最も良いことは分かっているが・・。
(みなと総合研究財団・クルーズ総合研究所副所長 沖田一弘)

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